Gallery
ノスタルジア3 130.6×194.1cm 油彩 キャンパス
直野宣子とノスタルジア。作者と作品。お互いとてもよく似合う。郷愁を感じるとき、わたしたちはいつもの時空からどこか離れている。「いまここ」が相対化される。が、直野宣子作品の場合、逆説的なことに、相対化してくれる絵そのものの「いまここ」の方が日常の現実以上の存在感を放つ。画家が追求しつづける、なんとも自在に感じられる光と空気との親和。それは抽象と具象というカテゴリーの縛りを軽く解いてしまう。生まれて初めて目の前にしたときの水の流れ、浮かぶ雲、森の翳り…そうした初体験の記憶が呼び覚まされる。懐かしさ(ノスタルジア)がそこに生まれる。それも厳しくもやさしく。ただ、だれもが共有できる絵の原体験として。水沢 勉