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オンフルール 油彩 P12
風と光 - 風景の感情を見る
風景への内的独白。戦後、外地で生まれた水島海衆は、常に「望郷の念」があるという。
画家は単に眼前の風景を描こうとするのではない。
たとえば、北海道風景には平野を吹き渡る爽やかな風。
オンフルールには海面を優しく撫でる風。
これらの風は明るい光と抱き合う。
彼はこの一瞬を、キャンヴァスにとどめる。
なぜならそこには、生の様々な感情があることを、彼は理解するからだ。
洗練された色調表現の、快い作品群。
だが画家は、絶えず自分が何処にいても「異邦人」だと感じる。
風景にかかわる内径的な自己感情である。
美術評論家 佃 堅輔